あおぞら富谷仙台では、病状が安定している方には
3ヶ月ごとに採血検査をしています。
採血前の声がけをどのように使い分けているか、ご紹介します。
目次
「今日は、お願いがございます」「採血させて♡」
これは、拒絶の強い方への声がけです。
認知症の中には、身体介助や医療処置に激しく抵抗される方がいます。
前医(往診を開始するまで通院していた医療機関)では大暴れして、
数人がかりで押さえつけても採血できなかった、
なんて方もいらっしゃいます。
でも、きちんとお願いすれば分かってくださる。
特に教授や社長などの地位にあった方では、効果てきめん。
年少者から「お願いがございます」と言われれば、
「おう」と懐の深いところを見せてくれる。
普通に採血にも協力してくれて、ご家族が目を丸くして驚くことも。
「困ったじいちゃん」として接するのでなく、
紳士として接すれば、紳士として応えてくれるのです。
それでも拒絶が強い場合は、潔く諦めて延期します。
2週間後の診察時にはあっさり採血させてくれることもあり、
粘り強く説得するよりも、
気分を変えて後日に仕切り直す方が良いみたいです。
「今日は3ヶ月に1度の、お楽しみの日です」
えー、何なに?と目を輝かせてから、
「採血させて♡」 なーんだ、いいことかと思ったのに。
「あ、ちなみに痛いことをするのは、看護師さんだからね」
あー、先生ずるーい。
にぎやかな女性陣がいるグループホームでは
採血をめぐるやり取りでも大いに盛り上がります。
笑いの力は、お互いの心身に良い影響がありそうです。
「今日採血してもいいですか?」
当院では原則初診時に採血はしないことにしています。
多くの場合、前医から採血データが提供されるし、
初対面で痛いことをしたくないので。
でも時々、前医からの採血データがなく、
著しい異常値が想定される時などは、
初診で採血をさせてもらうこともあります。
そんな時の声がけが、こちら。
採血は日常的に行われる医療行為ですが、
ご本人の同意を得てから実施したいと思うのです。(院長 神部)