「あとどのくらい生きられますか?」の質問に向き合う。

「あとどのくらい生きられますか?」の質問は、

思わずたじろぐ質問の一つといえるでしょう。

もちろん正確な余命予測は困難ですが、

質問の真意を図りながら、逃げずに向き合います。

 

占い感覚で質問するばあちゃんの場合

差し迫った大きな持病のないばあちゃんが、

占い感覚でこの質問をすることがあります。

 

「そうねえ。いま92歳でしょ。

うまくいけば10年はいけるかもしれないけど、

20年は難しいかもしれませんね」

そう答えると、「うわー」と笑顔を返してくれます。

 

介護休暇を検討するご家族の場合

施設に入所中のお母さんが末期癌で、

仕事を持つ娘さんからこのようなお話がありました。

「いずれ介護休暇を取って家で看たいとは思っていますが、

休暇が6ヶ月なので、その後について悩んでいます」と。

 

私は率直に伝えました。タイミングを逸しないために。

「いずれ介護休暇をお考えであるなら、

今がもう そのタイミングです。

今のお母さんの体力とご病状を拝見すると、

3ヶ月後があるかないかだと思います。」

 

ご自宅での療養を経てお母さんをお看取りした後、

娘さんからご丁寧にお手紙をいただきました。

 

「先生に初めてお会いしたあの日、

母の状態をはっきり教えていただいたことで

いつ家に連れ帰ってくればいいのか

決めかねていた気持ちが定まりました」

 

終活のために質問したOさんの場合

進行の速い神経難病で、

ぐんぐんと体力が低下し 呼吸状態も悪化していたOさん。

当初大学病院で伝えられていた命の期限を何とか乗り越えた後、

ご本人より質問されました。

 

「あとどのくらいの時間が残されていますか?

だいたいの終活は終わったけれど、

あと少し残っているものがあります」

 

私は言葉を選びながら、こう伝えました。

「当初伝えられていた命の期限は、乗り越えられましたね。

これからどのくらいの時間が残されているかは、

今後のご病状の進行により左右されます。

一つ言えることは、例えば命の時間が1ヶ月としても

思考力や判断力が保たれている時間は、

それより短いと考えた方がよいです。

大事なことは、早めの方がいいかと思います。」

 

シビアな現実に ともに向き合いながら

その中でも痛みや息苦しさなどの苦痛症状は

最大限に緩和する努力をすることを お約束します。

(院長 神部)

 

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