癌の末期や神経難病の方々を診療していて
ご本人より 「早く逝きたい」
「もう終わりにしてください」と懇願されることもあります。
思わずたじろぐ話題ですが 逃げずに向き合います。
(医療者が 人為的に終わりにすることはできません)
目次
返答例
①「お体が辛い時は 気持ちも落ち込みますよね。
痛みと だるさを十分に取り切れなくて ごめんなさいね。
痛みと だるさを楽にするお薬を さらに調整します。
お体が少し楽になると 気持ちも楽になるかと思います」
②「お辛いですね。空に厚い雲がかかった状態ですね。
体調も心の動きも お天気のように変化はあるかと思います。
じきに霧が晴れて お日様が出てくるといいですね」
必要に応じて安定剤を処方することもありますが
生と死にまつわる根源的な辛さを
解決してくれる安定剤はないでしょう。
不適切な返答例
①「そんなこと言わないで。ご家族も悲しむし 私達も悲しい」
辛い気持ちの表出を 否定してはいけません。
「言わないで」ということは
辛さを一人で抱え込みなさい というのと同じことです。
辛い気持ちをひたすら分かろうとする姿勢こそ
ご本人の辛さを軽減できる可能性があります。
②安易に「お気持ちは分かります」と言うのも不適切です。
傾聴する姿勢は大事ですが
ご本人の苦しみが そんなに簡単に分かるわけはないのです。
また お気の毒に の感情は不要で
腫れ物に触るような対応も不適切です。
普通に会話します。(院長 神部)