ご本人の想いとご家族の想いが
ほぼ一致していることもありますが
中には正反対の方向を向いていることもあります。
またご家族内で様々な想いが 混在していることもあります。
目次
Uさん「最期まで家にいたい」・娘さん「最期は入院して」
神経難病のUさん(83歳)は 初診時より一貫して
「どこにも行きたくない。最期まで家にいたい」と
明確に意思表示していました。
一方で同居の娘さんは当初
「具合が悪くなったら入院して」というご意向でした。
Uさんと娘さんの正反対の想いを受け止めながら
私は診察の度に 病状や症状緩和のための
選択肢につき説明しました。
娘さんは徐々にUさんの想いを尊重するようになり
結果的に最期までご自宅で過ごすことができました。
Tさんの三女さん「入院希望」・長女さん「もう少し家でみます」
Tさん(98歳)は誤嚥性肺炎を繰り返し
ご自宅で点滴治療中でした。
ある週末の早朝に娘さんより入電あり
「これ以上自宅でみるのは困難なので
入院を手配してください」とのことでした。
私は「お姉さんも同じお気持ちですか?」と確認しました。
電話の声が 主介護者の長女さんでなく
三女さんであると気づいたからです。
長女さんの返答は「もう少し家でみます」と。
ご家族の中でも それぞれの立場で
それぞれの想いがあることを再認識し
意思決定支援の難しさを痛感しました。
(院長 神部)