病院内での診療と 在宅での診療との違いはどこにあるでしょうか。
病院は医療の場であり 病院内では医療の管理下に置かれます。
目的に応じた治療が行われ
カロリーや塩分等を管理された食事が提供されます。
病院内の管理に反する行動(飲酒・喫煙・その他の問題行動)を取れば
強制退院になることもあります。
一方で 在宅は生活の場であり
そのお宅の方々の価値観が 細部にまで反映されます。
「気に入らないからもう来るな」という権限は
そのお宅の方々にあります。
在宅で体調を維持するためには
食事療法はじめ日常生活の全般に 自己管理が不可欠で
在宅医は各種説明と助言を行いますが 強制力はありません。
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毎日朝から飲酒している人もいますが
私がご自宅の酒を撤去することはできません。
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熱中症予防につき説明しても
ご自宅にクーラーのない家もあります。
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転倒を繰り返す人に 杖や車椅子使用を勧めても
ご本人が頑なに拒否することもあります。
認知症の方々の人権を守るために 行政と連携することはありますが
判断能力のあるご家族がいる場合
在宅医ができるのは 説明と助言にとどまります。
「これが自己決定」と割り切れない場面もあり
ご理解とご納得をいただけるよう工夫を重ねます(院長 神部)。