看取るだけではない訪問診療(3):心身の安定維持を図る

脳卒中後遺症や認知症の方々の訪問診療では

劇的な症状改善は望めないけれど

心身の状態が長期に安定して維持できるよう配慮します。

身体の安定維持のために

日常的に食事量や体重、血圧等を把握しながら

定期的に採血で栄養状態はじめ全身状態を評価します。

低栄養の兆候がみられたら栄養補助食品を併用し

体力維持につとめます。

転倒や褥瘡の予防にも配慮します。

精神の安定維持のために

認知症の混乱が強い方では 前医より

向精神薬を数種類処方されていることも少なくありません。

その処方薬でご本人が笑顔で穏やかに過ごせているなら

そのまま継続することもありますが

逆に薬を減らすことで穏やかになる場合もあります。

 

相対的に向精神薬が過剰になると 日中の眠気が強く食事量も減少し

ふらついて転倒する危険も高まるので 必要最小限を目指します。

 

訪問診療が2年、3年の長期になるにつれ

ご本人やご家族と思い出話や振り返りも増えます。

「3年前の退院当初は お尻の痛みが強くて大変でしたね」

「この2年間で わずかずつですが食事の種類も増えて

笑顔も見られるようになりましたね」

 

そして季節が一巡し それぞれのお宅で同じお花に再会できると

無事に1年が過ぎた喜びをかみしめます。(院長 神部)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新記事をお届けします