QOL (Quality of Life)は「生活の質」と訳されることが多いですが
私は「いのちの輝き」の訳が好きです。
主観的幸福感や生きがいをはかる指標です。
101歳のSさんは 「目も見えなくなって 耳も聞こえなくなって
何も良いことがないから 早く逝きたい」と日々嘆いています。
神経難病のMさんは「体が痛むし 歩けなくなってきた。
自分が人間でなくなるようだ」と表現しました。
何をもって幸福感や生きがいを感じるかは
それぞれ個人の価値観による尺度で異なります。
第三者が幸福の尺度を変える提案をしても
ご本人が「幸福でない」感覚を強く持っている場合
その変更はなかなか容易ではありません。
日々の診療と暮らしを支える実践を通して
「先生がいてくれて よかった」と言われることがあります。
自分の仕事と存在価値を率直に認めてもらえたとき
私は幸福感と生きがいをかみしめます。
老衰や病気により 体が思うように動かなくなっても
「あなたがいてくれて よかった」という存在価値を意識することで
QOLも保てるとよいなあと感じます(院長 神部)。